バスケット用車椅子が高額な訳
車椅子の座面の角度
同じ肢体不自由の障がい者でも、日常的に車椅子を使用している人もいれば、義足や装具、松葉杖などを使って歩ける人もいます。
車椅子バスケッをしているときに、全員が車椅子に乗っているということではみんな同じです。
しかし、腹筋を使える人と、腹筋を使えない人では、できることに違いがある場合があります。
腹筋を全く使えないと、背もたれに寄りかかっていないと体勢がくずれてしまいます。
体勢がくずれた場合、手を使って体勢を立て直さなければいけません。
このとき、車椅子をこいだり、ボールを扱ったりすることができません。
腹筋を使える選手よりも、動作が遅れてしまいます。
そのため、背もたれに寄りかかりやすいように、背もたれを長く、腹筋を使えない選手の車椅子は、
背もたれを高くし、座面が少し後方に倒れています。
逆に、腹筋を使える選手の車椅子は、背もたれが短く、座面の角度が小さくなっています。
選手の中には、座面を水平にしたり、背もたれをなくしている車椅子を使っている人もいます。
大輪のタイヤのサイズ
また、タイヤのサイズは、24、25、26インチとありますが、腹筋を使える人は座面を高くしても車椅子をこぐことができるように26インチのタイヤ、
腹筋の使えない人は操作性を重視して24インチのタイヤを使うことが多いです。
バスケット用の車椅子の値段
腹筋を使える、使えないの他にも、立って歩ける、歩けないもあります。立って歩けない選手は、ふくらはぎ、太ももの筋力が弱く、どちらもふくらみがありません。
(健常者である筆者は、立って歩けない選手の車椅子に乗ると、足が入らなかったり、
お尻や太ももに車椅子のタイヤがこすれてこぐことができなかったりします。)
他にも、身長や体格などの個人差があります。
(座面の高さがわかりやすいように、バスケットボールを置きました。)
左の車椅子の方がタイヤの大輪の底面が右の車椅子のものより、下がっているのがわかると思います。
これは、右の車椅子の方が、横幅が広いために、手前の大輪が、カメラ側に寄っているためです。
(奥のタイヤの大輪の位置はそろえています。)
車椅子は使う選手に合わせて、オーダーメイドでつくるために高額になっています。
材質などにもよりますが、1台30万〜40万円もします。
本体は、オーダーメイドなのである程度納得できますが、
タイヤの大輪はほぼ既製品なのに、左右の2本セットで10万円を超えるのには驚きです。
日本の車椅子バスケット選手は、健常者も含めて700人から800人だと推測されます。
全員が毎年車椅子をつくっても、多くて800台。5年に1台つくると、160台。
バスケット用の車椅子をつくっているのが4社あるので、1社当り40台になるので、 タイヤの後輪がほぼ既製品でも、大量生産ができないわけです。
街で見かけるような車椅子は、新品でも1万5千円を切るものもあります。
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